菌根菌 その2
植物の生育に良好な影響を与える「菌根菌」についての続編をご紹介します。
菌根菌の重要性についてjaxaによると
”菌根に連なった菌糸のネットワークを通して、
①水の吸収が増進される(乾燥に対する耐性の上昇)
②植物養分(ミネラル)の吸収が促進される(特にリンや、また微量必須ミネラルも)
③病気や害虫からの攻撃に対して強くなる(病害耐性の増大)
④土壌の構造がさらに強く維持される
一方、菌根菌は植物側から光合成産物(光合成によって作られた炭水化物)の提供を受けて、自身の生存に役立てます。これら互いに自分のためになる物を相手からもらい、その代わりに相手の必要とするものを提供する関係を相利(そうり)共生と呼びます。”
また、多くの植物に対しても活用の可能性を示唆する内容として
”陸上植物の8割以上がこの菌“A”と共生する能力があると推定されています。この菌“A”は多様な種類の植物にかなり分け隔てなく(特異性が低く)、共生して菌根を作りますが、
特に草のたぐいで多く報告されています。それらの植物にとって特にリンの吸収は重要で、その吸収促進の活動に菌“A”が大きな役割を果たします。”
植物に対する影響については
”栄養分の乏しい土壌に植えた同一種、複数の草本植物体において、ある個体には菌“A”を感染させ、また別の個体には菌“A”を感染させずに数週間も栽培すると、乾燥重量やリン含量に数倍、十数倍も違いの出ることがあるそうです。数%や数十%等のレベルではないこの正に桁違いの影響の大きさ、開いた口がふさがらない位、おそるべし菌“A”と言える力です。”
菌根菌の植物に対する効果の高さ、有効性についても期待感のある内容です。
最後に、菌根菌の助け合いについての言及では
”今回学んだ生徒さんたちの中に、植物って微生物と助け合って暮らしいて、実はずいぶんへんてこりんな生き物なんだなぁと思った人がいるかもしれません。でも人間を始め、動物も微生物と助け合って生きてきたのです。たとえば大腸菌って聞いたことがありますか。この教材範囲からさらに外れてしまうので詳しくは省きますが、私たちは腸内細菌と助け合って生きています。つまり、このような微生物との関わり方からしても、植物と動物、実は案外似ているのかもしれません”と「助け合い」について言及されています。
人類の歴史的にも、ホモ・サピエンスよりも体格が大きく、高い知能を持っていたとされる、ホモ・ネアンデルタール人より長く生き残っているホモ・サピエンスの生存理由に「助け合い」能力の高さだったとする説があるそうです。
以上、菌根菌についての続編でした。
#菌根菌 #助け合い #共存 #共生