17栄養 植物にとってのカルシウム

17種類の栄養素からカルシウムについてご紹介します。

・骨が無くても必要な栄養素

細胞の結びつきを強めて、葉や実の組織を形成し、根の育成を促進させたりします。
植物が体を支える為の細胞壁を作る材料になる為、骨がない植物でも大切な栄養素になります。

・カルシウムの性質

カルシウムの中でも難溶性カルシウムの場合は吸収効率が悪く、水溶性カルシウムによる供給が効率的ですが、土壌中の成分と結合して難溶性になりやすい性質があります。
石灰系肥料(生石、消、苦土)も比較的速く難溶性になり、phがアルカリ性に傾きます。
また、カルシウムは塩基類(鉄、亜鉛、マンガン等)と相性が悪く、phの極端な傾きが加わると吸収されにくくなる場合があります。

・カルシウムが不足すると

生長の盛んな新芽や根の生育が悪くなります。トマト果実の「尻腐れ症」や、はくさいでは新芽の先が枯れる「芯腐れ症」があらわれます。カルシウムは植物体内での移動がほとんどありませんので、新芽に症状があらわれやすいのが特徴です。またカルシウム欠乏症は単に土壌中のカルシウムが不足している場合だけでなく、土壌の酸性化、乾燥、チッ素過多による肥料バランスの崩れなどが原因で根からのカルシウム吸収が抑制される場合にも発生しやすくなります。ですからカルシウム欠乏症の予防には、これらの原因を取り除くことはもちろん大切ですが、「トマトの尻腐れ予防スプレー」のような葉面散布剤で茎葉や実に直接カルシウムを吸収させることも有効な手段のひとつです。*1

また、3大栄養素の窒素・リン・カリウムより少量で済むカルシウムでも性質的な問題があります。

“若い葉や果実などの組織は細胞壁合成が盛んであるために、その材料としてのカルシウムを多く必要とすると考えられます。しかしながら、蒸散流によって吸収される特性のため、カルシウムは蒸散の盛んな古くて大きい葉には蓄積しやすい一方、若い組織には運ばれにくい性質があります。このため、たとえカルシウム施肥を土壌に行なっても、植物体内での局所的なカルシウム欠乏は完全には防げないという現状があります。
実際に、カルシウム欠乏症としてよく知られるトマトの尻腐れ症やハクサイのチップバーンなどは、果実や若い葉の先端など、蒸散の少ない組織で発生します。*2

・過剰症

通常の栽培ではカルシウムの過剰症は出にくいですが、カルシウムの過剰施用により土壌が強アルカリになり、pHが高くなるとマンガン、鉄、亜鉛、ホウ素などの吸収が阻害され欠乏症があらわれます。*1

17種類の必須栄養素からカルシウムについてのご紹介でした。

#骨太 #牛乳 #石灰

*1 住友科学園芸 カルシウム 
*2 東京大学研究結果 植物のカルシウム欠乏への耐性機構の一端を解明