17栄養 植物にとってのマンガン
17種類の栄養素からマンガンについてご紹介します。
・役割
植物の成長に必要な光合成を行うために必要です。
光合成を効率的に行うには「葉緑素」と呼ばれる葉っぱが緑色であることがポイント
葉緑素の生成や光合成から水を分解して酸素を発生させるため等に必要な栄養です。
・欠乏症
葉緑素の生成が悪くなることで、緑色だった葉が白や黄色っぽくなります。
光合成が上手く行えなくなり、作物の成長が悪くなります。
また、独立行政法人農業環境技術研究所によると”葉の緑色が薄くなることであるが、亜鉛欠乏や鉄欠乏と区別しにくいので葉の分析が必要な場合が多い。亜鉛の欠乏症状として各作物に共通の現象は、枝や茎の節間がつまり葉が密生し、小葉となって叢生状(ロゼット)となること、1枚の葉でみると、葉脈間に明瞭な黄色の斑入りができ、葉脈の緑色とこの黄色の斑入りのコントラストが強いのが特徴である。” *1 と解説される。
土壌内phが7前後のアルカリ性では特にマンガンが不足しやすくなります。
マンガン不足が疑われる時は、マンガンを追加する前に土壌phの調整で
不溶化して根から吸収される前に流失している状態の改善が有効です。
・マンガンに関する研究
「マンガン過剰で収量低下」のメカニズム解明
Mn は植物が生育する上で必要不可欠な栄養素の1つに数えられます。しかし、土壌の酸性化や灌水等の原因によって土壌中における植物が吸収可能な形態のMn 量が上昇し、植物が細胞内で必要とされる以上に Mn が吸収・集積されると、植物の生育が抑制されることが以前から報告されていました。
ところが、生育低下をもたらす具体的な分子機構は明らかにされていませんでした。
今回、高木助教らは、Mn 施肥量を変動させた水耕栽培条件下でイネを生育させることで、当該分子機構=図=を解明しました。根圏の Mn 濃度の上昇によって植物体内に Mn が過剰に集積すると、植物ホルモンの一種オーキシンの濃度が低下。オーキシンに依存して誘導される葉の発達、生理応答、並びに遺伝子発現がかく乱され、気孔閉鎖と葉の発達変化が、光合成による炭素固定量を低下させ、炭素代謝の低下による作物生育の低下を起こすことを見出しました。*1
必須栄養素である一方で、各種肥料と比較すると追肥についてはそこまで神経質になる必要性はないかもしれません。
17種類の栄養素からマンガンについてのご紹介でした。
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*1植物の金属元素含量に関するデータ集録 独立行政法人農業環境技術研究所
*2「マンガン過剰で収量低下」のメカニズム解明 摂南大学 農学部農業生産学科