17栄養 植物にとっての硫黄
17種類の栄養素から硫黄についてご紹介します。
・硫黄の役割
タンパク質やアミノ酸、ビタミン類や酵素を形成する為に硫黄が必要です。
実質的には光合成に必要で、作物の味や香りなどの品質管理には欠かせない栄養素です。
また、アルカリ性の土壌を酸性化させる為の土壌改良目的でも活用されます。
・環境
産業革命後は大気中に二酸化硫黄が大量に排出されていた為、植物は大気中の硫黄を吸収することで育成に十分でした。
近年の環境規制や低硫黄燃料の開発、栽培収穫の効率化や高品質な作物の需要対応などが相まって硫黄欠乏が生じる事例が増加しています。
効果的な吸収には硫酸イオンの形態が効果的ですが、土壌内の固定化が難しくて流れやすい性質がある関係で成長期前から少量を小まめに施肥する方法が有効です。
・欠乏症
光合成などのエネルギー代謝へ関与する栄養素の為、作物の発色が悪くなったり葉に歪みができます。
最終的には作物の味や香りへ影響することがあり、症状を発見してからでは手遅れになることが多いことも特徴です。
・硫黄に関する研究
―作物のストレス耐性強化にも期待―
植物において硫黄の貯蔵・輸送やストレス防御に働く物質である「グルタチオン [1] 」の新たな分解経路を発見しました。さらに、ここで働く酵素が別の防御物質グルコシノレート [2] の合成にも働くことから、同酵素が植物の硫黄代謝において2つの機能を担うことを解明しました。本研究の成果は、ストレス耐性作物や機能性作物の開発を通じ、食糧増産や健康増進に寄与することが期待されます。*1
17種類の栄養素から硫黄についてのご紹介でした。
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*1 Glutathione Degradation Activity of γ-Glutamyl Peptidase 1 Manifests Its Dual Roles in Primary and Secondary Sulfur Metabolism in Arabidopsis