ドローンに関連する官民対話2015

政府が進める「未来投資に向けた官民対話(第2回)」の中でドローンについての内容をご紹介します。

2015年に官邸4階大会議室でドローンについて政府と民間人による議論がありました。

出席者は以下の通り

安倍 晋三 内閣総理大臣 

麻生 太郎 副総理 

甘利 明 経済再生担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 

菅 義偉 内閣官房長官 

林 幹雄 経済産業大臣 

加藤 勝信 一億総活躍担当大臣 

高市 早苗 総務大臣 

河野 太郎 国家公安委員会委員長 

島尻 安伊子 情報通信技術(IT)政策担当大臣 

福岡 資麿 内閣府副大臣 

とかしき なおみ 厚生労働副大臣 

山本 順三 国土交通副大臣 

榊原 定征 日本経済団体連合会会長 

三村 明夫 日本商工会議所会頭 

小林 喜光 経済同友会代表幹事 

豊田 章男 トヨタ自動車株式会社代表取締役社長 

冨山 和彦 IoT 推進ラボ座長 

谷口 恒 株式会社 ZMP 代表取締役社長 

ポール・マイズナ― アマゾン・ドット・コム副社長 

川田 達男 セーレン株式会社代表取締役会長

まずはじめにドローンについて谷口ZMP代表取締役社長より言及が始まります。

”ZMPとソニーで産業用ドローンの合弁会社、エアロセンスをつくった。

 特徴は、先ほどのロボットタクシーと同じく、操縦者の必要がない点である。安全な完全自立ドローンである。ドローンで取得したデータをクラウドに上げて、解析サービスを行う。

 まずドローンを建設中の建物の上に飛ばす。写真を撮っていき、それを張り合わせる。

それで、配筋の種類、またはスペンサーなどの重要なパーツを抽出して、欠陥がないかをチェックする。その後、この写真画像を三次元に変換して、背景の余計なものを削除して、施工図面と照合していく。そうすることによって、欠陥がないか、ダブルチェックが行われる。

ここで、政府にお願いしたいことは、高層化・大型化がどんどん進んでいるマンション、ビルの建設現場で検査を行うために、広域での安定制御を行いたい。そのためには、現状の電波法では、混信の影響と出力不足で通信が不安定になってしまう。ドローンの周波数割当てと出力制限の緩和をお願いしたい”などとドローンについての議論があります。

これに対して当時の山本国土交通副大臣は”ドローンについても、配送サービスの構想等について御説明をいただいた。国土交通省としては、ドローンをはじめとする無人航空機の普及に対応し、先般、緊急に航空法を改正して、基本的な交通安全ルールを定めたところであり、12月10日から施行

を予定している。

改正航空法の運用に当たっては、ドローンの利活用の促進と安全の確保の両立が図られるよう、柔軟な運用を図ってまいる。

 さらに、物流でのドローン活用を含めた健全な発展に寄与するよう、民間関係者の意見をしっかり聞いて、必要な制度整備について検討してまいる所存である”と見解を述べ、当時の高市総務大臣へと続き、 未来投資の有望分野として、本日、IoTを取り上げていただいたこと、感謝申し上げる。 主に谷口様、マイズナー様のお話に関連するのだが、ドローンをより遠くまで飛ばして、高画質の映像など、大容量データのやりとりを可能とするということは、測量や物流といった新たな利用の可能性を広げるという観点から大変重要だと思っている。先ほど冨山様からも、スピードが命というお話があったので、私は、電波を所管する立場から、まず、ドローンの操作やデータの伝送に用いる周波数帯の拡大及び電波の出力の引き上げを行う。

また、携帯電話を上空で利用できるようにするために、年度内に方針を定めて、来年の夏までに必要な制度を整備することにする。

また、ドローンに限らず、さまざまなIoTサービスの普及促進に向けた取組みを加速していく。政策に関しての支援策は、9月に私から情報通信審議会に諮問を行っている。

さらに、マイズナーアマゾン・ドット・コム副社長からは、” 日本は商業用ドローンにおいてリードを取ることができると確信をしている”とコメントされています。

林経済産業大臣からは” 先日、コマツのスマートコンストラクションの現場を視察してきた。ドローンで飛ばして、測量、設計、施工、検査まで、全てをIoTでつないで、もちろん運転はするのだが、ボタンでセットすると全部やれるという、すばらしい現場を見てきた。人よりも完全に施工できるというのを目指してやっているのを目にして、これはまさに未来の現場がこうなるのかと感じたわけであり、先ほど総務大臣も発言あったが、経産省としても、日本発、世界に大きく発信していく仕掛けとして、IoTの推進協議会を立ち上げたわけであり、こういった枠組みの中で、規制緩和、あるいは資金援助みたいなことをして、日本企業の閉鎖性を打破していければと思っている。また、経産省としても、産業構造、就業構造、経済社会システムの変革に向けて、官民で共有する新産業構造ビジョンを今、作成しているところであり、来年春にはこの場で紹介したいなと思っている。”とコメントされています。

そして、当時の安倍内閣総理大臣からもドローンについて以下の様な発表がありました。

” 生産性革命の鍵を握る投資によって、世界に先駆けた第4次産業革命を実現する。第4次産業革命はスピードが勝負だと考える。自動走行、ドローン、健康医療は、安全性と利便性を両立できる有望分野であり、早速、この場で具体的な方針を決定する。

 第1に、2020年オリンピック・パラリンピックでの無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転が可能となるようにする。このため、2017年までに必要な実証を可能とすることを含め、制度やインフラを整備する。

 そして第2に、早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す。このため、直ちに利用者と関係省庁等が制度の具体的なあり方を協議する官民協議会を立ち上げる。この場で、来年夏までに制度整備の対応方針を策定する。

 第3に、ドローンや建設機械をより遠隔地から操作したり、データをやり取りしたりできるようにする。このため、来年夏までに使用できる周波数帯の拡大や出力アップなど、新たな電波利用の制度整備を行う。”

これらの官民対話によりドローンについての現状や課題が公の場で語られ、現在も続く「空の産業革命ロードマップ2022」へ続きます。